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【レビュー】七年目の浮気(原題:The Seven Year Itch)ヘイズ・コードとモンローのめくり上がるスカート

アホ。最初から最後までひたすらアホ。
バカっぽいラヴコメと言ったらそれだけなんだけど。
登場人物が魅力的すぎる。
いちいちエロいよモンロー。

しかしこの映画、楽しげな見た目とは違い、実は結構苦労してつくりあげた映画だった。


 


ヘイズ・コードとのたたかい。

あの有名なシーン。

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地下鉄の通風孔から吹き上げてくる風でモンローのスカートがめくり上がる…。
そう、あのアホみたいに物凄い勢いでブォーン!て、めくり上がりそうなこの場面。
期待して観てみたら…
ビビルくらいめくり上がっていない。全然見えてねぇじゃん!
写真とかでは凄い勢いでめくり上がっているのに。なんだこれ誇大広告か、とか思っていたら。ちゃんと理由があった。
ヘイズ・オフィスに削除されてしまったらしい。

ヘイズ・オフィス。まだR指定が無かった頃の映画たちに多大な影響を与えたハリウッドの自主検討機関。

映画製作倫理規定(通称 ヘイズ・コード )を策定しハリウッド映画の健全なイメージを守るため厳しく検討。
エロい表現とか、学校で見せられないような非道徳的作品つくんじゃねぇよ、という感じで、公的な検討を恐れてハリウッドが自ら映画の表現を削るようなことをしていた。

そしてコノ『七年目の浮気』の場合、内容そのものがコードに引っかかるらしい。
ヘイズ・コードいわく「不貞を笑いものにするものはダメよ」だそうで。タイトルからしてアウトー!という。

舞台で人気出まくりだったこの作品を映画化したがる者は大勢いたが、皆へイズを恐れて映画化することができないでいた。
そこで名乗りを上げたのはビリー・ワイルダー

彼は『失われた週末』『サンセット大通り』『情婦』等、歴史に残る傑作を多く手がけてきたヒットメーカーでありながら、ヘイズ・コードに逆らうような作品を作り続けていた。『サンセット大通り』もコードに引っかかるらしい。

ワイルダーが監督をするということで、映画会社側も俄然やる気が出てきた。
そして主演女優にセックスシンボル、マリリン・モンローを迎える。まさに鬼に金棒。
カリスマエロ女優が出演するという話題性だけでもヘイズ連中にとっては脅威だった。

そして…。

結果的に映画化はできたものの、あらゆる魅力的なシーンはカットされまくり。
ベッドでヘアピンを見つける場面とか。
あんまりだよヘイズさん・・・。スカートくらいめくらせてよ。


マリリン・モンローの心理

んでもう一つの問題がモンローのプライベート。
彼女は新婚さんだったんです。メジャーリーグのスタープレイヤー、ジョー・ディマジオさんとラヴラヴだったわけですよ。もう全米が、いや世界中が熱狂してしまうようなナイスカッポー。 だがしかし。この映画がきっかけで二人は離婚することに。結婚生活八ヶ月。はや。

原因は、やっぱりあの場面。
映画のPRも兼ねた屋外ロケでの撮影。白いスカートが優雅にふんわりと…
「俺のワイフは何やってるんだ!この恥さらし!」とディマジオは憤慨。
まぁ怒るのもわかる。モンロー下着透けてたらしいもん・・・。サービスしまくりだなぁ。
そんなワイフをギャラリーに混じってディマジオは見ていた。
「姉ちゃんエロすぎるぜー!ひゅーひゅー」みたいなヤジも飛んできただろうに。周りのギャラリーにキレなかったのか心配だよディマジオさん。
んでこの夜二人は大喧嘩。そしてお別れ。モンローは妻になるよりも女優の道を選んだ。

しかしこのことは撮影にも影響を及ぼした。もともと不安定な精神の持ち主だった彼女がいっそう不安定に。スタッフらは彼女をなだめつつ撮影を行なわなければならないことに。大変だね・・・。
でも、スクリーンの中の彼女は全くそんな風には見えない!モンロー素晴らしい。いやスタッフも素晴らしい。



メソッド演技で悩むモンローの姿をミシェル・ウィリアムズが演じた映画はこちらです。

【ミニレビュー】マリリン 7日間の恋【映画】 - 雑食シネマライフ


もうモンローと仕事するのはウンザリとか思っただろうに、『お熱いのがお好き』では再びモンローと組むワイルダー監督。
この頃のモンローはもっと酷かったらしい。現場の雰囲気は最悪だったとか・・・。でも映画の中は最高に楽しいんだよね。舞台裏がそんなだったとは微塵も思わない。

【ミニレビュー】お熱いのがお好き【映画】 - 雑食シネマライフ


そしてこの『お熱いのがお好き』は、相変わらずヘイズ・コードに引っかかる内容(女装を扱った喜劇)だったため、ヘイズ・コードを通さずに上映したところ大ヒット。
これを機にヘイズ・コードの威力が弱まったとのこと。



このような裏事情を知ってから映画を観てみると、また違った感想が得られそう。
今観ると、とてもカワイイ作品なのに。当時は問題作と言われる程挑戦的な内容だったんだなぁ。

ちなみにロケで撮ったスカートふんわり場面は雑音だらけだったらしく、セットつくって撮り直したとさ。

イラスト


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