【レビュー】楽園追放 -Expelled from Paradise- 美少女のお尻と脚本について

SFらしいガジェット、ロマン、ライド感のある映像、そしてエロカワ美少女が魅力的な作品。

正直アニメには疎い方なので、そういう者の感想としてお読み頂けると幸いです。
(仕事柄もっとこのへんのコンテンツには強くなりたい・・・)

私はSF大好きでカワイイ女の子のお尻も嫌いじゃないので結構楽しめました。
逆にこれらの要素そのものを「物語の良し悪し抜きに」楽しめる人でなければちょっと厳しい作品だったかなあと。専門用語多いし。

で、この物語の欠点は何なのか?それは感情移入できないことです。



感情移入できない理由


※以下ネタバレ有り

感情移入できない理由をいろいろ考えてみたところ以下の3点が原因かなーと。

1.登場人物の背景が不明であること。
2.死の概念が曖昧であること。
3.葛藤がないこと。

1に関してはアンジェラとディンゴがそれぞれの「そこにいる理由」を語るシーンがあるのですが、結局舞台の説明しかできておらず、個人的なことにまで話が掘り下げられていないので、彼らを別世界の人としか見れません。
2については「肉体の死=死」ではない世界なのに、この世界における死が何なのか明確にされていないので、アンジェラを同じ人間として気持ちを重ねることができません。メモリのリソースが尽きれば死なのかもしれないけれど、そこも明言は避けていたし。あと明らかに普通の人間であり血を流せば死んでしまうであろうディンゴも、ストーリー的に死なないだろうという安心感があり感情移入しづらいでした。
3は、主人公アンジェラの決断がすべてあっさりしすぎていて「ほんとにそれでええんか?」となってしまう点です。そもそも葛藤が無い理由は1と2が十分でないからです。ディーヴァに残してきた友人や家族は?ディーヴァでは死なないの?こんな状況で「楽園追放」されても、で?っていう。なのでこの物語、追放される前までは結構面白いんですよね。

むしろ一番人間らしいキャラがAIなので、こいつへの感情移入を誘導したかったのか?とも思うのですが。乗れなかったなあ…。フロンティアを目指すロマンはすっごい燃えるんですけどね。

同時期に劇場公開されていた「インターステラー」と比較できる部分もあり、SF好きには楽しめる作品なのではないでしょうか。


脚本家

楽園追放を観た直後に、同じ虚淵玄さん脚本の「魔法少女まどか☆マギカ」(TVシリーズと劇場版[新編] 叛逆の物語)を観たのですが、肉体と精神に関するテーマが非常に似ていました。(一話しか観てないですがPSYCHO-PASSもそんな感じっぽい。)
こんなにも人の気持ちを抉るような作品を書いている作家さんが、なぜこれほど感情移入させない物語を書いたのか。

後からインタビューで知ったんですが、まどマギはかなり自由に書いた作品らしいです。
いわゆるエロゲでありがちな設定をアニメに持ち込んだ作品とのこと。
逆にまどマギ以外は自分の色をそれほど出さずに作品に合った脚本を書く人らしいです。
サイコパスの設定は監督の本広克行さん(踊る大捜査線のひと!)と話し合い、「警察ものの近未来SF」という軸から警察官の銃が勝手に攻撃する相手を判断したら困って面白いかもね!という発想で書いた作品とのこと。

そもそも映画の脚本は沢山の人達の手によって作られているらしいので(クレジットされない脚本家もいる)物語そのものに作家性は出にくいのかもしれないです。エンタメ重視の作品なら特に。
ハリウッド映画は基本的に三幕構成でストーリーもパターン化されてますし、殆どシステマチックに「売れる作品」というのは書かれているのだろうなあと。
脚本や脚本家について色々調べてみたくなりました。

楽しみ方

キャラクターのアイドル性に萌え、SFのガジェットに萌え、ライド感のある映像に興奮する、そんな楽しみ方の映画だと思いました。