【レビュー】『レオン』(原題:LEON / THE PROFESSIONAL)と、ちょっと『水曜日のエミリア』(原題:LOVE AND OTHER IMPOSSIBLE PURSUITS / THE OTHER WOMAN)

なぜか妙に思い入れのある映画ってのがあります。
私にとっては『レオン』という作品が、なんでかずっと愛着のある映画なんです。

・中学生の頃に好きだった浜崎あゆみ鈴木あみ派と熾烈な戦いがあったりなかったり)がインタビューで『レオン』が好きだと答えていたから。
・学生時代の友達がナタリー可愛いよーって言いながら一緒に『レオン』を観たから。
・エンドロールで流れるStingの『Shape Of My Heart』が好きでよく聴いていたから。
・映画好きの父が何気に借りてきて、なんとなくオッサンと少女という組み合わせが印象的だったから。
・『フィフス・エレメント』のVHSビデオ豪華版を購入したらオマケでレオン完全版のメイキングが入っていたから。

などなど、いろいろ理由はあるんですが、好きな映画というより、なんか頭の片隅に常にいる映画なんですよね。
そしてやたらとレオンのナタリーをモデルに絵を描いていました。

で、つい最近ブルーレイ『レオン 完全版』を購入したので、久しぶりに鑑賞。
以下ネタバレごめんーなレビューになります。





とにかくキャストがいい

マチルダ役のナタリー・ポートマンが可愛いです。めっちゃ可愛いです。
昔観たときはただの「子供」にしか見えなかったですが、それは自分自身も子供だったからなのかなと。
今観ると「女」としての色気みたいなものも感じて、危うい魅力がぷんぷん漂う。
レオンとの関係も父娘みたいなものでは無く、対等な関係として描かれています。


(助けを求めるマチルダ)
f:id:asabatabo:20140507005648j:plain


そういえば当時のナタリーは『タクシードライバー』のジョディ・フォスターの再来だ!なんて言われていたような気がします。『タクシードライバー』のジョディの存在感はヤバかったですね。メンヘラな雰囲気漂う幼い美女。『レオン』のナタリーの方が年相応の可愛げがある気がします。
『タクシードライバー』も、もう一度観ようと思ってDVDを買ったんですが放置しております。早くもう一度観なきゃ。


レオン役のジャン・レノはどの映画観てもこのレオンを思い出してしまう程ハマり役です。
かなり容赦ない凄腕の殺し屋で、エキストラレベルの登場人物はすぱすぱ死んでいきます。
マチルダが一緒に「仕事」をする場面はテンポよくちょっと楽しげに描かれていますが『ナチュラル・ボーン・キラーズ』よろしくな殺人カップルですよ。恐ろしい2人です。
普通に考えれば、いやいや倫理的にアウトでしょって感じですが、2人の愛や互いへの理解が育まれる過程として描かれているので「いいな」と思ってしまう。
ガムで覗き穴ふさいでマチルダの声で誘ってレオンがぶっ殺す!
うん、良い場面です笑
ミルクが好物なところはFFⅦクラウドを思い出しますね。ジーン・ケリーの映画をキラキラした瞳で観ているところもカワイイです。

『レオン』以降、様々な作品にジャン・レノは出演していますが、なぜか彼が出演しているってだけで観る気がちょっと失せてしまうんですよね。これはなんでだろ。


そして、カプセルを噛み砕くシーンがキモかっこ良いスタンフィールドを演じるゲイリー・オールドマン
この人も個人的には『レオン』で印象が決定付けられた俳優さんです。
異常な悪役が本当に似合いますね。
ヤク中で殺人狂の汚職DEAなんて、悪者以外の何者でもない。
特にDEAに侵入したマチルダをトイレで待ち伏せるスタンフィールドが良いです。
扉の後ろにずっと隠れているなんて想像するとちょっと笑えるし、少女を堂々と脅迫するあたり、よく職場でそんなことできるなと。


(レオンに対する愛情と、スタンフィールドに対する復讐心で思い悩むマチルダ。)
f:id:asabatabo:20140507010237j:plain


ゲイリー・オールドマンは『告発』の意地悪な刑務所長役も印象的でしたね。
トゥルー・ロマンス』のラリっぷりもよかったですが『シド・アンド・ナンシー』のシド的な役もかっこいい。
最近は『ダークナイト』シリーズの正義感あふれる刑事役でイメージチェンジ?という感じ。
正直『バットマン・ビギンズ』では違和感しかなかったですが『ダークナイト』以降は安心感を抱くまでになりました笑
権力にもの言わせて汚職ばっかしてたのに、気づけば『セルピコ』になっていたなんて。人生どう転ぶかわかりませんね。


そして音楽もいい

その人が音楽を担当しているというだけで観たくなる作曲家が3人います。

まず、坂本龍一
シェルタリング・スカイ』『嵐が丘』は音楽が先に気に入り観た映画です。
『戦場のメリー・クリスマス』なんてすばらしすぎて未だに映画の方を観ていない笑

つぎに、マイケル・ナイマン
ピアノ・レッスン』『ガタカ』『リバティーン』と聴くだけで涙がこぼれおちそうな音楽ばかり。『ピアノ・レッスン』のあのメロディは何度聴いてもいいですね。

このお二方のつくりだす音楽は、どことなく切なくて、でも弱い訳ではなく、何か内に秘めた力強い意思のようなものを感じさせ、いやもうとりあえずめっちゃいいですよね!

で、お気に入りの最後の一人がエリック・セラリュック・ベッソンの映画は彼の音楽に支えられているとマジで思います。『グラン・ブルー』『フィフス・エレメント』そして『レオン』。
いやーいいっすね。特に『フィフス・エレメント』のオペラシーンは圧巻で、あの場面だけ何度も繰り返し観ました。
本作『レオン』でも、マチルダと過ごす2人の時間に疲れたレオンが部屋を出るシーンで流れる音楽が、彼の心情をよく表していて、ほほーっという感じでした。


ストーリーは王道でロリータ

社会からはみ出た主人公が、女性やその家族のために、彼らの幸せを脅かす輩と戦う。

たとえば『シェーン』
たとえば『許されざる者
たとえば『ドライヴ』

まさに王道。誰かの幸せ願うと自己犠牲に走る男の物語。胸が熱くなります。


そんな王道に『ロリータ』を入れてくるあたりはやっぱり『タクシードライバー』を思い出す。
元ネタは『グロリア』らしいですけど、障害の多い純愛ドラマとして観れてしまう本作は、うまいなあと思います。
レオンとマチルダがモノマネごっこするシーンは楽しいですね。
昔は全然わからなかったけれど、今観るとああ、ジョン・ウェイン、ね笑。


(レオンの植木鉢を抱え何かを悟りながらも希望を胸に歩むマチルダ)
f:id:asabatabo:20140507010254j:plain



で。

言うまでもなくリュック・ベッソンの代表作です。
映画ファンは避けては通れない作品のひとつでは無いでしょうか。作った当時、監督は本作の内容にファンは落胆するんじゃないかと思っていたらしいんですが、程よいバランスとナタリー・ポートマンという大女優を世に出した映画として歴史に残る作品だと思っています。


エンディングのSting『Shape Of My Heart』が好きです。
歌詞を読んでもなんでこれがエンディングなの?とか思ってしまうんですけどそんなことはもういいです。
メロディがとってもレオンの雰囲気なんだもの。


ついでに『水曜日のエミリア』を軽くレビュー

『レオン』を観た後、最近のナタリーの作品も観たいなと思い、huluにあったこの作品をチョイス。

水曜日のエミリア - YouTube

恋愛、家族、親と子、生と死、自分を嫌いな人との対峙。
タイトルとパッケージからは想像もつかない重い暗い内容でした。
不幸すぎるヘヴィな話は逆にコメディぽくなるものが多いのですが、この映画の不幸はなんだか身近です。自慢にもならない不幸な話です。
妻子持ちの同僚を誘惑、略奪婚してひとつの家庭を壊していながらメソメソと被害者のように振る舞う女性をナタリーが見事に演じています。なぜ見事かというと、今紹介したような人物にもちゃんと感情移入させるところ。ひどい女性かと思いますが、そこをちゃんと納得させます。むしろ鑑賞者も完璧な人間なわけないので、自分が犯した過去の過ちを省みつつ観てしまうという、思った以上に考えさせられる映画でした。

歩み寄る姿勢があっても、すれ違いは起こる。
利害が一致しない人間は嫌なやつに見えちゃうものなのでしょう。
前妻の息子がイイキャラしています。

出る人みんな不機嫌な顔してたり泣いてたり言い争っていてネガティブな場面が多い映画なので、観るひとによってはだいぶ気が滅入るかもしれません。ナタリー演じる主人公も所謂「いいひと」ってわけではないので。

ステップマザーものでは『グッドナイト・ムーン』という映画もありましたね。ジュリア・ロバーツスーザン・サランドンジェナ・マローン。こちらも結構良い映画だった記憶があります。おすすめです。

それにしてもナタリー・ポートマンはやっぱ良い女優さんですね。『ブラック・スワン』ブルーレイ欲しいなあ。




関連映画

ナタリー・ポートマン出演作品


マイケル・ナイマン


坂本龍一


ステップマザーもの