【ミニレビュー】エレファント・マン【映画】

★★★★☆

複雑な気持ちになる。

泣いてはいけない、と思いながら観た。実話ならなおさら。
観ながらとても色々なことを考えさせられる。
一番ストレートに感じてしまうことは"かわいそう"という同情の気持ちだ。同情してはいけない、と思ってはいる。でも、この映画を観ながら涙を流してしまう俺は同情しているのだろう。

身体に障害を持った人物を題材にした作品はいつも複雑な気持ちにさせる。その中でもエレファント・マンは今までで一番複雑な気持ちになった気がする。
とにかく悲壮感漂う演出。心はこんなにも美しいのに、外見が醜いばかりに降りかかる不幸。"他人の不幸を食い物にしている"この映画もそうなのではないのか。など考えるけれど、だからと言ってこの作品を否定しようとは思わない。善と偽善の違いなんて正直なところ俺にはまだよくわからない。

観始めは恐くてたまらないのに、段々その恐さが悲しみに変わっていく。
彼の苦しみは理解できない。
だから彼がどれほど幸せだったのかも理解できない。
でも、生きたんだなって思った。


【スタッフ・キャスト】
デビッド・リンチ  ジョン・ハート, ジョン・ハート, アンソニー・ホプキンス, アン・バンクロフト, ジョン・ギールグッド